塩化物量試験方法

① 広口共栓瓶は試料を入れる前に蒸留水で十分に水洗いを行い、電気定温乾燥機内でこれを乾燥し、放冷後、その質量を測定し、これをW1(g)とする。
② 必要量まで縮分した試料は、乾燥せずにそのままの状態で1000gずつ2個の広口共栓瓶にはかりとる。
③ 試料は電気定温乾燥機に入れ、105±5℃で一定質量となるまで乾燥する。電気定温乾燥機内で室温と同じ温度になるまで冷やし、その絶乾質量を測定し、これをW2(g)とする。
W2(g)=広口共栓瓶質量+試料乾燥質量
④ 試料の質量は、下記の計算式によって算出し、試料(絶乾質量)とするW(g)。
W(g)=W2(g)-W1(g)

5.上澄液
(1)上澄液の作製
メスシリンダーで蒸留水500mlをはかり、これを絶乾質量測定後の試料W(g)に注ぎ、蓋をして24時間静置する。その後、約5分間隔で3回転倒振とうを繰り返し、しばらくこれを静置する。
備考:必要があれば、ろ紙(5種B)を用いて上澄液をろ過する。

(2)上澄液の抽出
蒸留水で水洗いしたホールピペットを用い、上澄液50mlを抽出し、三角フラスコ内に入れる。尚、ホールピペット及び付属ポンプの取り扱い順序は次のようにする。
① ポンプAの部分を押し、ポンプ内の空気を出す。
② ホールピペットのポンプを取り付けSの部分を押し、上澄液が50mlの線以上になるまで吸水する。
③ Fの部分を押し、上澄液を排出しながら50mlの線に合わせる。
④ ホールピペットを三角フラスコ内に入れ、Fの部分を押し上澄液50mlを全て移しかえる。
参考:ホールピペットの先の部分には、必ず最後に少量の上澄液が残ってしまうがその時には、まず付属ポンプをはずし、ホールピペットの上の部分を親指で押さえ、ホールの部分を手のひらで握り圧をかけると先の部分に残った上澄液も排出することができる。

8.試験
(1)試験準備
蒸留水で水洗いしたビューレットに0.1mol/L硝酸銀溶液を25ml入れる。

 (注1)0.1mol/L硝酸銀溶液は、1滴ずつ三角フラスコ内に加える。  

(2)試験操作
① 上澄液の入った三角フラスコの中に、クロム酸カリウム指示薬(50g/L)1mlを加えふり混ぜる。
② 0.1mol/L硝酸銀溶液を1滴ずつ加え、上澄液の色が赤色沈澱に変化し、ふり混ぜても赤色が消えなくなったときを滴定の終点とする。
③ そこまでに加えた0.1mol/L硝酸銀溶液の量をA(ml)とする。

   

【試験操作①:硝酸銀滴定状況】  【試験操作②:硝酸銀滴定終点状況】

参考:この試験での三角フラスコ内の反応をまとめてみると次のようになる。
① 上澄液+クロム酸カリウム指示薬(50g/L)
→上澄液が黄色に変化。
② 0.1mol/L硝酸銀溶液を加える。
→塩素イオンと反応して塩化物の白色沈澱を生成する。
③ 終点まで0.1mol/L硝酸銀溶液を加える。
→塩素イオンが全部塩化物になった後は、余分の硝酸銀はクロム酸カリウムと反応してクロム酸銀の赤色沈澱を生成する。
K2CrO4+2Ag2CrO4(赤色沈澱)+2KNO3 

結果の計算及び記録
(1)計算方法
細骨材が含有する塩化物を全て塩化ナトリウム(NaCl)と仮定して絶乾状態の細骨材に対する質量分率で求める。

            
                                      
              ここで

W:試料の絶乾質量(g)
A:試験での0.1mol/L硝酸銀溶液の消費量(ml)
B:ブランク試験での0.1mol/L硝酸銀溶液の消費量(ml)
f:ファクター
0.00584:塩化ナトリウムの量で0.1mol/L硝酸銀溶液1mlに相当する量

(2)結果の表示
試験は2回行い、各試験の値は小数点以下4桁まで求め、結果はその平均値を四捨五入により小数点以下3桁まで求め表示する。
(2回の試験値の偏差は0.01以内とする。)

   【引用規格】  
JIS A 5002 塩化物量試験